コラム

大学講義からの顕微鏡歯科学会



5月最後の週末は母校北海道大学6年生への臨床講義から,
六本木に移動して久しぶりの対面にての顕微鏡歯科学会に参加してきました.

例年どおり,国家試験にからめて一般医が習得すべき知識や技術の解説を90分行いました.
もう10年やっているのでマンネリ感は否めないですが,刺さる人には刺さったようです.
インプラントよりもマイクロスコープに興味があるようですね.


その流れで,マイクロスコープの学会に参加してきました.
お目当ては東京医科歯科大学消化器外科教授絹笠先生の教育講演です.
ダビンチを使った大腸ガン手術は日本でトップの症例数だそうです.


泌尿器科分野では帯広厚生病院院長佐澤陽先生に,「目と手の連動・eye-hand coodination」についてご講演頂いたことがありますが,消化器外科分野のお話は初めてでした.
とても興味深かったことは,トップの外科医が集まり症例数も多い施設(いわゆるハイボリュームセンター)と,そうではない施設では手術成績にはっきりとした差があるという事実でした.
外科たるもの手技重視.技術には明確な違いがあることを強調されていました.
これはダビンチのような一見誰がやっても同じ成績を出せると思われがちなツールにおいても,施設間の成績の違いはエビデンスとして数値化されつつあるとのことでした.

これは僕たちの分野においても重要なことです.
広く浅く,技術を普及させるのか
マンパワーと設備と費用を集約させて,より高い成功率を目指すのかは,今後もっと議論されるべきテーマと思います.

講演の中で冗談ぽく「自分が大腸ガンになったら,手術を任せられるドクターはいない」と仰っていました.
会場は爆笑でしたが,きっと誰もが心の中で同意していたことでしょう.